このページの約束

1まず予想しよう:鈍角の cos はプラス?マイナス?

シミュレーターを動かす前に、直感で答えを選んでください。正解は、操作したあとに開いて確かめます。

予想1 θ = 120° のとき、cosθ の値はどうなる?

答え合わせ(操作のあとに開こう)

正解:イ cosθ は「P の x 座標 ÷ 半径」です。120° の点 P は y 軸より左にあるので x が負になり、cos120° = −1/2 です。sinθ は「y 座標 ÷ 半径」なので、正のままです。

予想2 θ = 30° のまま、半径を 1 から 5 に変えます。sinθ はどうなる?

答え合わせ(操作のあとに開こう)

正解:ウ P の y 座標は 0.50 から 2.50 へ 5 倍になりますが、半径も 5 倍になるので、比 y ÷ r は 1/2 のままです。三角比は長さではなく比なので、三角形の大きさでは変わりません。

予想3 0°≦θ≦180° で、sinθ = 1/2 を満たす θ はいくつある?

答え合わせ(操作のあとに開こう)

正解:イ 半径 1 の半円で、高さが 1/2 の点は左右に 2 つあります。θ = 30° と θ = 150° です。「方程式」モードで水平線を動かすと、交点の数が変わる様子を見られます。

予想4 θ を 90° より小さいほうから 90° に近づけていくと、tanθ はどうなる?

答え合わせ(操作のあとに開こう)

正解:ウ tanθ は OP の傾き y ÷ x です。P が真上に近づくと x が 0 に近づくので、tan88° ≈ 28.64、tan89° ≈ 57.29 と急に大きくなります。90° ちょうどでは x = 0 で割れないので、値はありません。91° まで進むと tan91° ≈ −57.29 で、符号が逆になります。

2動かしてみよう:半円の上の点 P を動かす

点 P を指やマウスでドラッグするか、図の下のスライダーと ±1° のボタンで動かします。モードを切り替えると、折り返しや方程式も同じ図で確かめられます。

半円の上の点 P と三角比の図 半径 r の半円の上の点 P、補助の直角三角形、座標を表示します。
30°

いまの値

θ = 30°半径 r = 1P(0.87, 0.50)

三角比値符号
sinθ
cosθ
tanθ

小数は丸めて表示しています。表示された小数で計算し直すと、最後の桁が少し違うことがあります。

特別な角

これらの角では、1/2 や √3/2 のような正確な値が出ます。

半径 r

半径を変えると P の座標は変わりますが、sin・cos・tan は変わりません。

表示

相互関係を数値で確かめる

OP(太い実線) x 座標の分(破線) y 座標の分(点線)

3観察のポイント:座標・符号・折り返し・交点の数

上から順に試して、気づいたことに印をつけていきましょう(印はこの画面の中だけで使い、保存はされません)。

  1. やってみるθ = 30° のまま、半径を 1 → 2 → 5 と切り替える。

    見るところP の座標は (0.87, 0.50)、(1.73, 1.00)、(4.33, 2.50) と変わりますが、sin30° = 1/2 はそのままです。半径 5 では、灰色の小さい半円の上にも形の同じ三角形が重なります。角が同じ直角三角形は相似だから、比が同じになります。

  2. やってみるθ を 60° から 120° まで動かす。

    見るところ120° の P は (−0.50, 0.87) で、x 座標が負です。だから cos120° = −1/2、tan120° = −√3 は負になります。y 座標は正のままなので、sin120° = √3/2 は正です。

  3. やってみる特別な角のボタンで 0°、90°、180° を順に押す。

    見るところ半径 1 の P は (1, 0)、(0, 1)、(−1, 0) です。sin は 0、1、0、cos は 1、0、−1 と座標から読めます。tan は 0、値なし、0 です。

  4. やってみる「tan の補助線」に印をつけ、±1° のボタンで 88° から 92° まで動かす。

    見るところOP が急になるほど、OP をのばした線と x = r の線の交点 T が高くなり、図の外へ出ていきます。90° では OP が x = r の線と平行になり、交点はなくなります。91° では、OP を O の反対側へのばした線が下のほうで交わり、tan は負になります。

  5. やってみる「180°−θ」モードで θ を動かす。

    見るところP と P′ の高さはいつも同じで、左右の位置だけが逆です。θ = 90° では 2 つの点が重なります。

  6. やってみる「90°−θ」モードで θ を動かし、θ を 90° より大きくしてみる。

    見るところθ = 30° では P(0.87, 0.50) と P′(0.50, 0.87) で、x と y が入れ替わります。θ が 90° を超えると、90°−θ が 0° より小さくなり、折り返した点は半円の上に来ません。

  7. やってみる「方程式」モードで k を 0 から 1.2 まで動かす。

    見るところk = 0 では 0° と 180° の 2 つ、0 < k < 1 では左右に 2 つ、k = 1 では 90° の 1 つ、k が 1 を超えると交点がなくなり解なしです。k を負にしても、半円より下を通るので解はありません。

  8. やってみる「cosθ = k」と「tanθ = k」に切り替えて、k を動かす。

    見るところcosθ = k の垂直線は、−1 ≦ k ≦ 1 なら半円と 1 点で交わり、それ以外では交わりません。tanθ = k の直線は O を通るので、k ≠ 0 なら 1 点で交わり、k = 0 のときだけ x 軸と重なって 0° と 180° の 2 つになります。

4式を書こう:三角比(sin・cos・tan)とは?直角三角形の辺の比

θ を 1 つの鋭角にもつ直角三角形で、θ から見た 3 つの辺に名前をつけます。

θ 斜辺 c 向かい合う辺 (対辺)a はさむ辺(隣辺)b
$$\sin\theta = \frac{a}{c}$$ $$\cos\theta = \frac{b}{c}$$ $$\tan\theta = \frac{a}{b}$$

角 θ が同じ直角三角形は、大きさが違っても相似(同じ形)です。だから、これらの比は三角形の大きさによらず、θ だけで決まります。sin・cos・tan は長さでも角度でもなく、θ を決めると 1 つに決まる比の値で、単位はつきません。たとえば sin30° は 1/2 という数です。

式を変形すると、斜辺の長さと角から残りの辺が求まります。

$$a = c\sin\theta$$ $$b = c\cos\theta$$

sin と cos で迷ったら θ をはさむ辺が cos、向かい合う辺が sin です。θ = 0° を考えると、三角形がつぶれて、はさむ辺が斜辺と同じ長さになります。cos0° = 1 なので、はさむ辺のほうが cos だと確かめられます。三角形の向きが変わっても、辺の名前は「θ から見てどこにあるか」で決まります。

特別な角 30°・45°・60° の三角比と覚え方(三角定規)

三角定規の 2 つの形は、辺の比が決まっています。この 2 つの形から、3 つの角の値をすべて作れます。

30° 60° 2 1 √3
1 : 2 : √3 の形
45° 45° √2 1 1
1 : 1 : √2 の形
θsinθcosθtanθ
30°1/2√3/21/√3
45°1/√21/√21
60°√3/21/2√3

たとえば 30° の角から見ると、向かい合う辺が 1、はさむ辺が √3、斜辺が 2 なので、sin30° = 1/2、cos30° = √3/2、tan30° = 1/√3 です。同じ三角形を 60° の角から見ると、向かい合う辺とはさむ辺が入れ替わります。

覚え方 丸暗記するより、三角定規の形を描いて毎回作るほうが確実です。並びで見ると、sin は 30° → 45° → 60° で 1/2 → 1/√2 → √3/2 と増え、cos は同じ値が逆の順に並びます。tan は 1/√3 → 1 → √3 と増えます。なお、1/√2 は √2/2 と書いても同じ値です。

鈍角の三角比:単位円で 0°〜180° に広げる(cos が負になる理由)

直角三角形の中の鋭角は 90° より小さいので、辺の比のままでは 120° の三角比を考えられません。そこで、定義を点の座標で言い換えます。これを三角比の拡張といいます。半径 r の半円の上で、角 θ の点を P(x, y) とすると

$$\sin\theta = \frac{y}{r}$$ $$\cos\theta = \frac{x}{r}$$ $$\tan\theta = \frac{y}{x}\quad(x \neq 0)$$

θ が鋭角なら、P から x 軸に垂線を下ろすと直角三角形ができます。y が向かい合う辺、x がはさむ辺、r が斜辺なので、前の節の定義とそのまま同じ値です。つまり、鋭角ではこれまでの値を変えずに、鈍角や 0°、90°、180° にも値を決めたことになります。

半径 1 の単位円では r = 1 なので、cosθ = x、sinθ = y です。点 P の座標がそのまま (cosθ, sinθ) になります。半径 r なら、P の座標は (r cosθ, r sinθ) です。

x y O θ = 120° 60° P(x, y) r y > 0 x < 0

鈍角で符号が変わる理由

鈍角では P が y 軸の左にあるので、x は負、y は正です。半径 r はいつも正なので、cosθ = x ÷ r は負、tanθ = y ÷ x も負、sinθ = y ÷ r は正になります。0°≦θ≦180° では y が負にならないので、sinθ が負になることはありません。

図の三角形は、θ そのものを内角にもつ三角形ではなく、座標を読むための道具です。O のところの内角は 180°−θ で、この三角形の辺の長さから、x の大きさと y を読みます。x には負の符号をつけます。

たとえば θ = 120°、r = 2 では、内角が 60° の三角定規の形なので、x の大きさは 1、y は √3 で、P(−1, √3) です。

$$\sin 120^\circ = \frac{\sqrt{3}}{2}$$ $$\cos 120^\circ = \frac{-1}{2} = -\frac{1}{2}$$ $$\tan 120^\circ = \frac{\sqrt{3}}{-1} = -\sqrt{3}$$

0°・90°・180° の値

P の座標は順に (r, 0)、(0, r)、(−r, 0) です。三角形はつぶれますが、座標の定義なら値が決まります。ただし tan90° は値がありません。x = 0 で、y ÷ x の分母が 0 になるからです。

180°−θ と 90°−θ の関係

180°−θ:y 軸で折り返す(120°・135°・150° の求め方)

点 P(x, y) を y 軸で折り返した点は (−x, y) で、その角は 180°−θ です。y はそのまま、x だけ符号が逆になるので、次の関係が成り立ちます。

$$\sin(180^\circ-\theta) = \sin\theta$$ $$\cos(180^\circ-\theta) = -\cos\theta$$ $$\tan(180^\circ-\theta) = -\tan\theta$$

tan の式は θ = 90° では使えません(どちらも値なし)。この関係を使うと、鈍角の三角比を鋭角の三角比に直せます。

$$\sin 120^\circ = \sin(180^\circ-60^\circ)$$ $$= \sin 60^\circ = \frac{\sqrt{3}}{2}$$
$$\cos 135^\circ = \cos(180^\circ-45^\circ)$$ $$= -\cos 45^\circ = -\frac{1}{\sqrt{2}}$$
$$\tan 150^\circ = \tan(180^\circ-30^\circ)$$ $$= -\tan 30^\circ = -\frac{1}{\sqrt{3}}$$

90°−θ:y = x で折り返す

0°≦θ≦90° のとき、点 P(x, y) を直線 y = x で折り返した点は (y, x) で、その角は 90°−θ です。x と y が入れ替わるので、sin と cos が入れ替わります。

$$\sin(90^\circ-\theta) = \cos\theta$$ $$\cos(90^\circ-\theta) = \sin\theta$$ $$\tan(90^\circ-\theta) = \frac{1}{\tan\theta}$$

tan の式は 0° < θ < 90° のときに使います(θ = 0° と 90° では、片方の tan が 0、もう片方が値なしになります)。直角三角形で見ると、直角以外の 2 つの角は θ と 90°−θ で、どちらの角から見るかによって、向かい合う辺とはさむ辺が入れ替わります。これが同じことの別の見方です。

θ が 90° より大きいと 90°−θ は 0° より小さくなり、このページの範囲(0°〜180°)から外れます。シミュレーターでも、折り返した点は半円の上に来ません。

三角比の相互関係と、符号の決め方

sin・cos・tan は別々の値ではなく、次の 3 つの式で結ばれています。1 つの値が分かれば、残りも計算できます(符号は θ の範囲で決めます)。

$$\tan\theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta}$$ $$\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$$ $$1 + \tan^2\theta = \frac{1}{\cos^2\theta}$$

tan が出てくる式は、θ = 90° では使えません。どの式も、P の座標から導けます。

1 つ目:y ÷ x を、r で割った形に直す
$$\frac{\sin\theta}{\cos\theta} = \frac{y/r}{x/r} = \frac{y}{x} = \tan\theta$$
2 つ目:三平方の定理

P は O からの距離が r の点なので、x² + y² = r² です。両辺を r² で割ります。

$$\left(\frac{y}{r}\right)^2 + \left(\frac{x}{r}\right)^2 = 1$$
3 つ目:2 つ目の式の両辺を cos²θ で割る
$$\frac{\sin^2\theta}{\cos^2\theta} + 1 = \frac{1}{\cos^2\theta}$$

符号の決め方

x と y の符号から、次の表のように決まります。0° と 180° は x 軸の上、90° は y 軸の上の点です。

0°鋭角90°鈍角180°
sinθ0正1正0
cosθ1正0負−1
tanθ0正値なし負0

1 つの値から残りを求める

例として、θ が鈍角で sinθ = 2/3 のときの cosθ と tanθ を求めます。

$$\cos^2\theta = 1 - \sin^2\theta = 1 - \frac{4}{9} = \frac{5}{9}$$

cosθ は ±√5/3 のどちらかですが、θ が鈍角なので cosθ < 0 です。

$$\cos\theta = -\frac{\sqrt{5}}{3}$$ $$\tan\theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta} = \frac{2}{3} \div \left(-\frac{\sqrt{5}}{3}\right)$$ $$= -\frac{2}{\sqrt{5}}$$

もし θ が鋭角なら、cosθ = √5/3、tanθ = 2/√5 です。sinθ の値だけでは鋭角か鈍角か決まらないので、θ の範囲を見て符号を選びます。

三角比を含む方程式の解き方(0°≦θ≦180°)

単位円で考えると、sinθ は P の高さ、cosθ は P の横の位置、tanθ は OP の傾きです。だから方程式は、線を 1 本引いて、半円との交点を探す問題になります。解の個数は交点の数です。

方程式引く線(単位円)解の個数
sinθ = k水平線 y = kk < 0 または k > 1:なし
k = 0:2 つ(0° と 180°)
0 < k < 1:2 つ(足すと 180°)
k = 1:1 つ(90°)
cosθ = k垂直線 x = kk < −1 または k > 1:なし
−1 ≦ k ≦ 1:1 つ
tanθ = kO を通る傾き k の直線k = 0:2 つ(0° と 180°)
k ≠ 0:1 つ(k > 0 は鋭角、k < 0 は鈍角)

解き方の例

sinθ = 1/√2 を解く
高さが 1/√2 の点は左右に 2 つあります。鋭角の解は三角定規から 45° で、もう 1 つは 180° − 45° = 135° です。答えは θ = 45°、135° です。
cosθ = −1/2 を解く
x = −1/2 の垂直線は、半円と左側の 1 点で交わります。cos60° = 1/2 なので、180°−θ の関係から θ = 120° です。
tanθ = −1 を解く
O を通る傾き −1 の直線は、半円と左側の 1 点で交わります。tan45° = 1 なので、180°−θ の関係から θ = 135° です。

三角比の値の一覧表(0°〜180°)

シミュレーターの特別な角のボタンで、同じ値を確かめられます。

θsinθcosθtanθ
0°010
30°1/2√3/21/√3
45°1/√21/√21
60°√3/21/2√3
90°10値なし
120°√3/2−1/2−√3
135°1/√2−1/√2−1
150°1/2−√3/2−1/√3
180°0−10

上の行と下の行を見比べると、θ と 180°−θ で sin が同じ、cos と tan は符号が逆になっています。

斜方投射とのつながり:v0cosθ・v0sinθ はなぜ三角比?

初速度の成分は、半径を v0 にした P の座標

斜方投射では、初速度を水平成分 v0cosθ と鉛直成分 v0sinθ に分けます。これは、半円の半径 r を初速度の大きさ v0 に読みかえたときの、点 P の座標そのものです。

$$\mathrm{P}(r\cos\theta,\ r\sin\theta)$$ $$(v_{0x},\ v_{0y}) = (v_0\cos\theta,\ v_0\sin\theta)$$

OP が初速度の矢印、x 座標が水平成分、y 座標が鉛直成分です。座標の向きも同じ(x は右向きが正、y は上向きが正)です。たとえば θ = 30°、r = 5 にすると P は (4.33, 2.50) で、これは初速度 5 m/s、投射角 30° のときの v0x ≈ 4.33 m/s、v0y = 2.50 m/s と同じ数です。

角度を鉛直方向から測る問題では、sin と cos が入れ替わる

問題によっては、投げる向きを鉛直方向(真上)からの角 φ で与えることがあります。水平からの角は 90°−φ なので、90°−θ の関係から次のようになります。

$$v_{0x} = v_0\cos(90^\circ-\varphi) = v_0\sin\varphi$$ $$v_{0y} = v_0\sin(90^\circ-\varphi) = v_0\cos\varphi$$

「水平が cos」と決めつけず、角をどこから測っているかを図で確かめましょう。

30° と 60° で飛距離が同じになる、もう 1 つの見方

投げた点と同じ高さに着地し、空気抵抗がないとき、滞空時間は 2v0y ÷ g なので、水平到達距離(飛距離)R は次の式になります。g は重力加速度で、9.8 m/s² とします。

$$R = v_{0x}\times\frac{2v_{0y}}{g} = \frac{2v_{0x}v_{0y}}{g}$$

投射角を θ から 90°−θ に変えると、v0x と v0y が入れ替わります。かけ算の順番が変わるだけなので、積 v0xv0y は同じで、飛距離も同じです。v0 = 5 m/s なら、30° の成分は (4.33, 2.50)、60° の成分は (2.50, 4.33) で、どちらも R = 2 × 4.33 × 2.50 ÷ 9.8 ≈ 2.2 m です。ただし、高く上がるのは v0y が大きい 60° のほうです。

斜方投射のページでは、同じことを sin 2θ を使って説明しています。実際に投げて確かめるには、斜方投射のシミュレーターで初速度 5 m/s の 30° と 60° を試してください。

5確認問題

角は 0°≦θ≦180° の範囲で考えます。答えは、できるだけ分数や √ を使った正確な値で書きましょう。解説を開く前に、紙に式を書いてみましょう。

問1 辺の比から三角比を求める

∠C = 90° の直角三角形 ABC で、BC = 20、CA = 21、AB = 29 である。sin A、cos A、tan A を求めよ。また、sin B を求めよ。

A C B 21 20 29
解説を見る

A から見ると、向かい合う辺は BC = 20、はさむ辺は CA = 21、斜辺は AB = 29 です。

$$\sin A = \frac{20}{29}$$ $$\cos A = \frac{21}{29}$$ $$\tan A = \frac{20}{21}$$

B から見ると、向かい合う辺は CA = 21 なので、sin B = 21/29 です。A と B は足して 90° なので、sin B は cos A と同じ値です。

問2 角と 1 辺から長さを求める

斜辺の長さが 12 cm で、1 つの鋭角が 60° の直角三角形がある。60° の角と向かい合う辺の長さと、60° の角をはさむ辺(斜辺でないほう)の長さを求めよ。

解説を見る
$$12\sin 60^\circ = 12\times\frac{\sqrt{3}}{2}$$ $$= 6\sqrt{3}\ \text{cm}$$ $$12\cos 60^\circ = 12\times\frac{1}{2}$$ $$= 6\ \text{cm}$$

向かい合う辺は 6√3 cm(約 10.4 cm)、はさむ辺は 6 cm です。1 : 2 : √3 の形とも合っています。

問3 特別な角の値

次の値を求めよ。(1) sin135°、(2) cos150°、(3) tan120°、(4) cos180°、(5) tan90°

解説を見る

(1) 180°−θ の関係から

$$\sin 135^\circ = \sin 45^\circ = \frac{1}{\sqrt{2}}$$

(2) 同じように

$$\cos 150^\circ = -\cos 30^\circ = -\frac{\sqrt{3}}{2}$$

(3) 同じように

$$\tan 120^\circ = -\tan 60^\circ = -\sqrt{3}$$

(4) 180° の点は半径 1 なら (−1, 0) なので、cos180° = −1 です。

(5) tan90° は値なしです。x = 0 で割れないからです。

問4 符号から角を判断する

θ は鋭角か鈍角のどちらかとする。次の条件を満たす θ は鋭角か鈍角か答えよ。決まらないときは「決まらない」と答えよ。(1) cosθ = −0.4、(2) tanθ = 0.7、(3) sinθ cosθ < 0、(4) sinθ = 0.6

解説を見る

(1) cosθ < 0 なので鈍角。(2) tanθ > 0 なので鋭角。(3) sinθ > 0 なので cosθ < 0 で、鈍角。

(4) 決まらない。sinθ は鋭角でも鈍角でも正です。実際に sinθ = 0.6 を解くと、θ ≈ 36.9° と θ ≈ 143.1° の 2 つがあります。

問5 相互関係で残りを求める

次のそれぞれの場合に、残りの三角比を求めよ。(1) θ が鋭角で sinθ = 20/29 のときの cosθ と tanθ、(2) θ が鈍角で sinθ = 20/29 のときの cosθ と tanθ、(3) θ が鈍角で tanθ = −2 のときの cosθ と sinθ

解説を見る
$$\cos^2\theta = 1 - \left(\frac{20}{29}\right)^2 = \frac{441}{841}$$

(1) 鋭角なので cosθ > 0 で、cosθ = 21/29、tanθ = (20/29) ÷ (21/29) = 20/21 です。

(2) 鈍角なので cosθ < 0 で、cosθ = −21/29、tanθ = (20/29) ÷ (−21/29) = −20/21 です。

(3) 1 + tan²θ = 1/cos²θ を使います。

$$\frac{1}{\cos^2\theta} = 1 + (-2)^2 = 5$$ $$\cos^2\theta = \frac{1}{5}$$

鈍角なので cosθ = −1/√5 です。sinθ = tanθ × cosθ = (−2) × (−1/√5) = 2/√5 で、sinθ が正になることも合っています。tanθ = −2 の解は θ ≈ 116.6° です。

問6 方程式を解く

0°≦θ≦180° のとき、次の方程式を解け。(1) sinθ = √3/2、(2) cosθ = −1/√2、(3) tanθ = −1/√3、(4) sinθ = 0、(5) sinθ = −1/2

解説を見る

(1) θ = 60°、120°(高さが同じ点が左右に 2 つ)

(2) θ = 135°(cos は 1 つ)

(3) θ = 150°(k < 0 なので鈍角の 1 つ)

(4) θ = 0°、180°(半円の両端)

(5) 解なし(0°≦θ≦180° では sinθ は負になりません)

問7 理由を説明する

地面から、同じ初速度の大きさ v0 で、投射角 θ と 90°−θ(0° < θ < 90°)の 2 通りにボールを投げる。空気抵抗を無視し、投げた点と同じ高さに着地するとき、2 通りの水平到達距離が等しいことを、初速度の成分を使って説明せよ。

解説を見る

投射角 θ のときの成分は (v0cosθ, v0sinθ) です。投射角 90°−θ のときは、90°−θ の関係から

$$v_0\cos(90^\circ-\theta) = v_0\sin\theta$$ $$v_0\sin(90^\circ-\theta) = v_0\cos\theta$$

となり、水平成分と鉛直成分が入れ替わります。水平到達距離は R = 2v0xv0y ÷ g なので、2 つの成分の積で決まり、入れ替わっても変わりません。よって、2 通りの水平到達距離は等しくなります。

三角比でよくある質問・間違えやすいところ

Q. sin・cos・tan は角度ですか?比ですか?
比の値です。単位(°)はつきません。sin30° は「30° という角で決まる比の値」で、1/2 という数です。半径を変えても値が変わらないのは、角が同じ直角三角形が相似だからです。
Q. 三角比は何のために使うのですか?
角と 1 つの長さから、ほかの長さを求めるために使います。数学では図形の長さや面積の計算に、物理では力や速度を 2 つの方向に分けるときに使います。
Q. 鈍角には直角三角形が描けないのに、なぜ三角比があるのですか?
定義を「半円の上の点の座標」に言い換えて、広げたからです。鋭角ではこれまでの辺の比と同じ値になるようにしてあります。鈍角で図に描く三角形は、座標を読むための補助です。
Q. 鈍角で cos や tan が負になるのはなぜですか?sin は負にならないのですか?
鈍角の点 P は y 軸の左にあり、x 座標が負だからです。cosθ = x ÷ r と tanθ = y ÷ x は負になります。0°≦θ≦180° では y が負にならないので、sinθ は負になりません。
Q. なぜ半径 1 の円(単位円)を使うのですか?
半径が 1 だと分母が 1 になり、cosθ = x、sinθ = y と、座標がそのまま値になるからです。半径を変えても比は同じなので、計算しやすい半径を選んでもかまいません。120° なら半径 2 にすると、P(−1, √3) と読みやすくなります。
Q. sin120° や cos150° はどう求めますか?
方法は 2 つあります。半円の上の点の座標を読む方法と、180°−θ の関係で鋭角に直す方法です。sin120° = sin60° = √3/2、cos150° = −cos30° = −√3/2 です。
Q. 30°・45°・60° の値はどう覚えればいいですか?
三角定規の 2 つの形(1 : 2 : √3 と 1 : 1 : √2)を描けば、辺の比から毎回作れます。120°・135°・150° は、180°−θ の関係で 60°・45°・30° に直します。
Q. tan90° はなぜ値がないのですか?無限大ではないのですか?
θ = 90° では x = 0 で、y ÷ x の分母が 0 になるからです。90° に近づくと tan の大きさはいくらでも大きくなりますが、無限大という値になるわけではなく、90° ちょうどの値はありません。89° と 91° で符号が逆になることからも、1 つの値に決められないことが見えます。答えは「値なし」と書きます。
Q. sin²θ + cos²θ = 1 はなぜ成り立つのですか?
半径 1 の半円の上の点は、O からの距離が 1 なので、三平方の定理から x² + y² = 1 です。x = cosθ、y = sinθ を入れた式が sin²θ + cos²θ = 1 です。シミュレーターの「相互関係を数値で確かめる」で、どの角でも和が 1 になることを見られます。
Q. sinθ の値から cosθ を求めるとき、プラスとマイナスのどちらを選べばいいですか?
θ の範囲で決めます。鋭角ならプラス、鈍角ならマイナスです。問題に範囲が書いていないときは、両方の場合を答えます。
Q. sinθ = 1/2 の解は 2 つあるのに、cosθ = 1/2 の解が 1 つなのはなぜですか?
半円の上で、高さが同じ点は左右に 2 つありますが、横の位置が同じ点は 1 つしかないからです。sinθ = k の解は θ と 180°−θ の組になります。ただし、k = 1 のときは 90° の 1 つだけです。
Q. 物理で力や速度を分けるとき、sin と cos はどちらを使いますか?
θ をはさむ辺の向きの成分が cos、θ と向かい合う辺の向きの成分が sin です。迷ったら θ = 0° を考えましょう。もとの大きさがそのまま残る向きが cos です。角の測り方によって入れ替わるので、図で確かめてください。速度の例は斜方投射のページで動かせます。
Q. 三角比と三角関数は何が違いますか?
このページの三角比は、0°≦θ≦180° の角で考え、図形の計量に使います(数学I)。三角関数は数学IIの単元で、角の範囲を広げて、角を変数とする関数として扱います。

よくある間違い

検算のこつ 式を作ったら、θ = 0° と θ = 90° を入れてみましょう。sin0° = 0、cos0° = 1、sin90° = 1、cos90° = 0 だけで、多くの取り違えが見つかります。たとえば sin(90°−θ) = cosθ は、θ = 0° で sin90° = 1、cos0° = 1 となり、合っています。

次のステップ

sin と cos で初速度を 2 つに分ける考え方は、物理の斜方投射ですぐに使えます。半径を v0 に読みかえた点 P を思い出しながら、ボールを投げて確かめてみましょう。

斜方投射を動かしてみる

数学では、次に正弦定理と余弦定理を学びます。三角形の辺と角の関係を表す定理で、このページの sin と cos を使って、三角形の辺の長さや角の大きさを求めます。三角形の面積も sin を使って表せるようになります。そのあと、数学IIの三角関数で、角の範囲をさらに広げていきます。