問1 分子量と式量
次の分子量または式量を求めよ。(1) NH₃ (2) C₂H₆O (3) CaCO₃ (4) Na₂SO₄
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(1) 14 + 1.0×3 = 17
(2) 12×2 + 1.0×6 + 16 = 46
(3) 40 + 12 + 16×3 = 100(イオンからなる物質なので式量です)
(4) 23×2 + 32 + 16×4 = 142(これも式量です)
単位はつけません。モル質量として書くなら、g/mol をつけます。
化学の計算では、質量 g、粒子の数、気体の体積 L が次々に出てきます。「どの数で割るのか、かけるのか」が分からなくなりやすいところです。覚えることは多くありません。3 つの量は、どれも物質量 mol を通ってつながっています。このページでは、換算の図を動かして道順を確かめ、単位を見ながら自分で計算を組み立てます。
モル濃度、化学反応式の量的関係は、このページでは扱いません。標準状態以外の気体の体積は、気体の状態方程式のページで扱います。
シミュレーターを動かす前に、直感で答えを選んでください。正解は、操作したあとに開いて確かめます。
予想1 原子量は O = 16 です。酸素 O₂ 16 g は何 mol でしょう?
正解:イ O₂ は O 原子 2 個の分子なので、分子量は 32 です。16 ÷ 32 = 0.50 mol です。O 原子としてなら 1 mol ですが、分子の数は 0.50 mol です。
予想2 水 H₂O 1 mol は 18 g です。液体の水としてはかると、体積はどのくらい?
正解:ウ 水の密度は約 1 g/cm³ なので、18 g は約 18 cm³、つまり約 18 mL です。22.4 L は、標準状態の気体の値です。水は標準状態で気体ではないので使えません。
予想3 水素 H₂ 1 g と酸素 O₂ 1 g があります。分子の数はどうなっている?
正解:イ H₂ は 1 ÷ 2.0 = 0.50 mol、O₂ は 1 ÷ 32 ≈ 0.031 mol です。H₂ の分子は軽いので、同じ質量なら数が多く、16 倍になります。
予想4 二酸化炭素 CO₂ 1 mol の中に、酸素原子 O は何 mol ある?
正解:イ CO₂ の分子 1 個に O 原子は 2 個あります。分子が 1 mol なら、O 原子は 2 mol です。C 原子 1 mol と合わせると、原子は全部で 3 mol です。
「換算する」では、物質とはじめの量を選ぶと、ほかの量が決まります。「2 つを比べる」では、何をそろえるかで結果が変わることを見ます。「道順を組む」では、自分で計算を選びます。
太い枠がはじめの量、破線の枠が求める量、太い矢印が通る道です。
| 数えるもの | 1 粒子に | 物質量 [mol] | 個数 [個] |
|---|
正方形は、同じ体積の立方体の 1 面で、辺の長さの比は本当の比です。気体でないものは、室温付近の密度(水 1.0、NaCl 2.2、Al 2.7、Fe 7.9、C(黒鉛)2.3 g/cm³)からの概算です。NaCl の粒子の数は、Na⁺ と Cl⁻ の組の数です。
天びんと粒子の図
点の数は、粒子の数の比を表す模式図です(多いほうを 40 個にしています。少ないほうが 1 個より少なくなるときも 1 個は描きます)。点の大きさは本当の大きさではありません。
気体の体積は、標準状態で気体の物質について書いています。
上から順に試して、気づいたことに印をつけていきましょう(印はこの画面の中だけで使い、保存はされません)。
やってみるCO₂ 11 g の体積を見る。
見るところ太い矢印が 2 本になります。11 ÷ 44 = 0.25 mol、0.25 × 22.4 = 5.6 L です。質量と体積を直接つなぐ矢印はありません。
やってみる逆向きに、CO₂ 5.6 L の質量を見る。
見るところ矢印の向きが変わり、÷ 22.4、× 44 になります。答えは 11 g で、元に戻ります。
やってみる物質量を 1 mol にして、H₂、N₂、CO₂ を切り替える。
見るところ変わるのは質量だけです(2.00 g、28.0 g、44.0 g)。物質によって変わる数は、モル質量 M だけです。
やってみる水 1 mol にする。
見るところ体積のところが「使えない」になり、矢印が点線になります。「1 mol の大きさ」の図では、液体の水 18 cm³ と気体 22.4 L の差が見えます。辺の長さで約 11 倍、体積で約 1200 倍です。
やってみる「粒子の中身」を見る。
見るところ分子は 3.00×10²³ 個です。H 原子はその 3 倍の 9.00×10²³ 個です。問題文が何を数えているのかを、必ず読みます。
やってみるNaCl 1 mol にする。
見るところ組の数で数えます。58.5 g の中に、Na⁺ が 1 mol、Cl⁻ が 1 mol あり、イオンは全部で 2 mol です。
やってみる天びんで H₂ と O₂ を同じ mol にする。
見るところ点の数は同じで、天びんは O₂ のほうへ傾きます。質量の比は 2.0:32 です。原子量や分子量が質量の比であることが、ここに出ています。
やってみる同じ質量にする。
見るところ天びんは水平で、点の数は大きく違います。H₂ は 4.00 mol、O₂ は 0.250 mol で、16 倍です。
やってみる同じ体積にする。
見るところ点の数が同じになります。同じ温度、同じ圧力、同じ体積の気体は、種類によらず同じ数の分子を含みます(アボガドロの法則)。
やってみる「道順を組む」で、わざと「× 44 g/mol」を押す。
見るところ11 g × 44 g/mol は 484 g²/mol です。g² という単位が出たら、計算の向きが逆です。答えの数を見なくても、単位で気づけます。
原子や分子は小さすぎて、1 個ずつ数えると桁が大きくなりすぎます。そこで、6.0×10²³ 個をひとまとまりにして 1 mol と数えます。mol で表した量を物質量といいます。卵を 12 個で 1 ダースと数えるのと同じ、まとめ方の約束です。
1 mol あたりの粒子の数がアボガドロ定数 NA です。
どのくらい大きな数でしょうか。1 秒に 1 個ずつ数えると、6.0×10²³ 秒は約 1.9×10¹⁶ 年です。
何を数えているかを言う mol は「個数」のまとめ方なので、何の粒子かを必ず言います。「酸素 1 mol」では、O₂ 分子なのか O 原子なのかが分かりません。
原子 1 個の質量はとても小さいので、炭素原子 ¹²C の質量を 12 とした比で表します。自然の元素には、質量の違う原子(同位体)が混ざっているので、その平均をとった値が原子量です。Cl が 35.5 のように整数でないのは、そのためです。比なので単位はありません。
| 名前 | 何の値か | 例 |
|---|---|---|
| 原子量 | 原子の質量の比(同位体の平均) | O = 16 |
| 分子量 | 分子をつくる原子の原子量の合計 | CO₂ = 12 + 16×2 = 44 |
| 式量 | 分子がない物質で、組成式やイオンの式の原子量の合計 | NaCl = 23 + 35.5 = 58.5 |
| モル質量 | 1 mol あたりの質量。上の値に g/mol をつける | CO₂ は 44 g/mol |
原子を 6.0×10²³ 個集めると、その質量は原子量の数に g をつけた値になります。もともと、そうなるように決められた個数です。2019 年からは 6.02214076×10²³ /mol という値に固定されていますが、この関係は高校の計算でそのまま使えます。だから、計算のときは分子量や式量に g/mol をつければ、それがモル質量です。
逆に、原子や分子 1 個の質量も出せます。C 原子 1 個なら、次のとおりです。
物質量 n は、3 つの量のどれからでも求められます。
| 量 | mol へ | mol から | 使えるもの |
|---|---|---|---|
| 質量 w [g] | ÷ M | × M | どの物質でも。M は物質で変わる |
| 粒子の数 N [個] | ÷ 6.0×10²³ | × 6.0×10²³ | どの物質でも。何を数えるかに注意 |
| 気体の体積 V [L] | ÷ 22.4 | × 22.4 | 標準状態の気体だけ |
換算は 2 回の計算 どの量からどの量へでも、①いったん mol に直す、②mol から求める量へ、の順です。公式を 6 通り覚える必要はありません。
二酸化炭素 CO₂ 11 g は、標準状態で何 L でしょうか。分子量は 44 です。
メタン CH₄ の分子 1.5×10²³ 個は何 g でしょうか。分子量は 16 です。
モル質量の単位は g/mol です。アボガドロ定数の単位は /mol と書きますが、単位を計算するときは「個/mol」と読みます。1 mol あたりの気体の体積(モル体積)の単位は L/mol です。単位も数と同じように計算できるので、消したい単位が消えるほうを選びます。
間違えると、すぐに分かります。質量に M をかけると、g × g/mol = g²/mol です。こんな量はありません。
もう 1 つの確かめ方は、大きさの見当です。1 mol の質量は分子量の数の g です。CO₂ 11 g は 44 g より少ないので、1 mol より少ないはずです。
化学式の右下の数は、粒子 1 個の中の原子の数です。mol でも同じ比になります。
| 物質 1 mol | 中にあるもの | 合計 |
|---|---|---|
| O₂ | O 原子 2 mol | 2 mol |
| H₂O | H 原子 2 mol、O 原子 1 mol | 3 mol |
| CH₄ | C 原子 1 mol、H 原子 4 mol | 5 mol |
| NaCl | Na⁺ 1 mol、Cl⁻ 1 mol | 2 mol |
水 H₂O 9.0 g の中の H 原子は何個でしょうか。分子量は 18 です。
図の粒子の数 3.00×10²³ 個は分子の数です。H 原子の数は、「粒子の中身」の表の H の行にあります。
同じ温度、同じ圧力、同じ体積の気体は、気体の種類によらず、同じ数の分子を含みます。これをアボガドロの法則といいます。だから、標準状態の気体 1 mol の体積は、種類によらず約 22.4 L になります。1 mol あたりの体積をモル体積といいます。
気体が特別なのは、分子どうしの間がとても広いからです。体積を決めているのは分子の大きさではなく、分子の間の空間です。液体や固体では粒子がくっついているので、1 mol の体積は物質ごとに違います。
22.4 L/mol が使えるのは標準状態の気体だけです。27 °C の気体や圧力が違う気体では、気体の状態方程式 PV = nRT で計算します。
気体の密度も、ここから分かります。標準状態の気体 1 mol は、質量が M の数に g をつけた値で、体積が 22.4 L です。だから、密度は M/22.4 [g/L] です。CO₂ なら 44 ÷ 22.4 ≈ 2.0 g/L です。逆に、標準状態の密度に 22.4 をかけると、分子量が求まります。
原子量は H = 1.0、C = 12、N = 14、O = 16、Na = 23、S = 32、Cl = 35.5、Ca = 40、Fe = 56、アボガドロ定数は 6.0×10²³ /mol、標準状態の気体 1 mol の体積は 22.4 L とします。換算の答えは有効数字 2 桁で書きましょう。分子量と式量は、計算した値のまま書きます。途中の計算は丸めずに進めましょう。解説を開く前に、紙に式を書いてみましょう。
次の分子量または式量を求めよ。(1) NH₃ (2) C₂H₆O (3) CaCO₃ (4) Na₂SO₄
(1) 14 + 1.0×3 = 17
(2) 12×2 + 1.0×6 + 16 = 46
(3) 40 + 12 + 16×3 = 100(イオンからなる物質なので式量です)
(4) 23×2 + 32 + 16×4 = 142(これも式量です)
単位はつけません。モル質量として書くなら、g/mol をつけます。
(1) メタン CH₄ 8.0 g は何 mol か。(2) 酸素 O₂ 0.25 mol は何 g か。(3) 塩化ナトリウム NaCl 11.7 g は何 mol か。
(1) 分子量 16 です。8.0 ÷ 16 = 0.50 mol
(2) 分子量 32 です。0.25 × 32 = 8.0 g
(3) 式量 58.5 です。11.7 ÷ 58.5 = 0.20 mol
(1) 窒素 N₂ 0.50 mol の分子は何個か。(2) 鉄原子 1.2×10²⁴ 個は何 mol か。
(1) 0.50 × 6.0×10²³ = 3.0×10²³ 個
(2) 1.2×10²⁴ ÷ (6.0×10²³) = 2.0 mol 10²⁴ と 10²³ の桁の違いに注意します。
(1) 水素 H₂ 0.25 mol は、標準状態で何 L か。(2) 標準状態で 44.8 L のメタン CH₄ は何 mol か。
(1) 0.25 × 22.4 = 5.6 L
(2) 44.8 ÷ 22.4 = 2.0 mol
(1) 窒素 N₂ 7.0 g は、標準状態で何 L か。(2) 標準状態で 2.8 L のメタン CH₄ は何 g か。(3) 水 H₂O 4.5 g の分子は何個か。
(1) 7.0 ÷ 28 = 0.25 mol、0.25 × 22.4 = 5.6 L
(2) 2.8 ÷ 22.4 = 0.125 mol、0.125 × 16 = 2.0 g
(3) 4.5 ÷ 18 = 0.25 mol、0.25 × 6.0×10²³ = 1.5×10²³ 個
(1) 二酸化炭素 CO₂ 0.50 mol の中の O 原子は何個か。(2) 標準状態で 11.2 L のアンモニア NH₃ の中の H 原子は何個か。(3) 塩化ナトリウム NaCl 5.85 g の中のイオンは、Na⁺ と Cl⁻ を合わせて何個か。
(1) O 原子は 0.50 × 2 = 1.0 mol なので、6.0×10²³ 個
(2) 11.2 ÷ 22.4 = 0.50 mol。H 原子は 0.50 × 3 = 1.5 mol なので、1.5 × 6.0×10²³ = 9.0×10²³ 個
(3) 5.85 ÷ 58.5 = 0.10 mol。イオンは 0.10 × 2 = 0.20 mol なので、0.20 × 6.0×10²³ = 1.2×10²³ 個
図の粒子の数は、分子や組の数です。原子やイオンの数は、「粒子の中身」の表で確かめましょう。
次のア〜エを、分子の数が多い順に並べよ。ア 水素 H₂ 2.0 g イ 酸素 O₂ 16 g ウ 標準状態で 5.6 L のメタン CH₄ エ アンモニア NH₃ の分子 1.2×10²⁴ 個
すべて mol に直して比べます。ア 2.0 ÷ 2.0 = 1.0 mol、イ 16 ÷ 32 = 0.50 mol、ウ 5.6 ÷ 22.4 = 0.25 mol、エ 1.2×10²⁴ ÷ (6.0×10²³) = 2.0 mol です。
多い順に、エ、ア、イ、ウ です。単位の違う量も、mol にそろえれば比べられます。
検算のこつ 答えを出したら、1 mol と比べて見当をつけましょう。CO₂ 11 g は 44 g より少ないので 1 mol より少なく、体積は 22.4 L より小さいはずです。
このページでは「mol を通ればつながる」ことを、図を動かして確かめました。次は、問題文から量を読み取って、自分の手で道順を立てる段階です。
化学では、このあとモル濃度と化学反応式の量的関係で、mol をそのまま使います。気体の体積を標準状態以外でも求めたいときは、気体の状態方程式に進みましょう。mol の計算は中和滴定でも使います。ほかの単元は、化学の一覧から選べます。
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