このページの約束

1まず予想しよう:平衡はどちらへ、どこまで動く?

シミュレーターを動かす前に、直感で選んでください。正解は、操作したあとに開いて確かめます。

予想1 N₂O₄ ⇄ 2NO₂ が平衡にある筒を押して、温度を変えずに体積を半分にします。十分に時間がたったあとの NO₂ の濃度は、押す前と比べてどうなる?

答え合わせ(操作のあとに開こう)

正解:ウ 押した直後は 0.250 → 0.500 mol/L に上がり、左への移動で ≈ 0.390 mol/L まで下がります。下がりますが、押す前の 0.250 mol/L までは戻りません。

予想2 H₂ + I₂ ⇄ 2HI の平衡で、温度を変えずに体積を半分にします。平衡はどうなる?

答え合わせ(操作のあとに開こう)

正解:エ 左辺も右辺も分子は 2 個なので、Q は 36 のままで K と等しく、移動しません。ただし、体積が半分なので、濃度はどれも 2 倍です。

予想3 触媒を入れて N₂O₄ だけから反応を始めます。触媒なしのときと比べて、平衡での NO₂ の濃度はどうなる?

答え合わせ(操作のあとに開こう)

正解:イ どちらも 0.250 mol/L です。触媒は正反応も逆反応も同じ倍率で速くするので、K は変わらず、着くまでの時間だけが短くなります。

予想4 N₂O₄ ⇄ 2NO₂ の平衡に、反応しない貴ガスを加えます。体積を変えない場合と、全圧を変えない(体積が増える)場合で、平衡はどうなる?

答え合わせ(操作のあとに開こう)

正解:イ 体積一定では、反応する気体の濃度が変わらないので Q も変わりません。全圧一定では、体積が増えて濃度が下がり、Q が K より小さくなるので、分子の数が多い右へ動きます。

2動かして確かめる:平衡を乱して、戻り方を見る

反応を選び、右のボタンで操作します。操作のたびに、Q と K の比較、動く向き、操作の前・直後・新しい平衡の濃度が出ます。変化の途中で次の操作をすると、いまの変化を最後まで進めてから行います。

 

粒の数は物質量に比例させた模式図です。容器の面積は体積に比例させています。平衡でも、粒は入れ替わり続けます(丸く光るのが反応した粒です)。

濃度の時間変化のグラフ 横軸は説明用の時間、縦軸は濃度です。物質ごとに線の種類を変えています。操作のたびに縦の点線と番号を入れます。白丸は操作の直後、黒丸は新しい平衡です。

    線の種類は物質ごとに変えています。白丸が操作の直後、黒丸が新しい平衡です。触媒ありのときの細い点線は、触媒がないときの変化です。時間の目盛りは説明用のモデルで、実際の速さではありません。

    正反応と逆反応の速さのグラフ 実線が正反応の速さ、破線が逆反応の速さです。平衡では 2 本が重なります。どちらも説明用のモデルの値です。
    温度を変える

    体積を変える(圧力を変える)

    物質を加える・除く
    触媒

    貴ガスを加える

    貴ガスは反応しません。全圧一定のときは、気体全部の物質量に比例して体積が変わります。

    はじめからやり直す

    はじめの体積と基準の温度に戻します。触媒の有無はそのままです。

    Q と K の比較

    操作の直後の Q:

    いまの Q:

    K:

    操作の前・直後・新しい平衡

    [mol/L]操作の前直後新しい平衡

    「濃度の和」は、貴ガスも含めた全部の気体の濃度の和 [mol/L] です。同じ温度なら全圧に比例します。

    操作の前
    直後
    新しい平衡

    3観察のポイント:どちらへ動き、どこで止まる?

    どの項目にも「この状態にする」ボタンがあります。押すと、その項目に書いた操作を、書いた順にはじめから行った状態になります。

    1. やってみる N₂O₄ ⇄ 2NO₂ で、N₂O₄ 1.00 mol だけを 4.0 L の容器に入れて始める(左辺だけ)。

      見るところ Q が 0 から増えて K = 0.5 mol/L に届くと、濃度の変化が止まります。平衡の濃度は [N₂O₄] = 0.125 mol/L、[NO₂] = 0.250 mol/L で、等しくはありません。下の速さのグラフでは 2 本の線が重なります。反応が止まったのではなく、正反応と逆反応の速さが等しくなったのです。粒は入れ替わり続けます。

    2. やってみる 今度は NO₂ 2.00 mol だけを同じ容器に入れて始める(右辺だけ)。

      見るところ 逆向きに進みますが、着く先は [N₂O₄] = 0.125 mol/L、[NO₂] = 0.250 mol/L で同じです。どちらから始めても同じ平衡に着きます。

    3. やってみる 項目 1 の平衡(0.125 mol/L、0.250 mol/L)から、NO₂ を 0.500 mol 加える。

      見るところ [NO₂] は 0.250 → 0.375 mol/L に上がり、Q ≈ 1.13 で Q > K です。左へ動いて、[NO₂] ≈ 0.290 mol/L、[N₂O₄] ≈ 0.168 mol/L になります。増えた分の約 68 % を打ち消しますが、0.250 mol/L には戻りません。一方、K は 0.5 mol/L のままです。濃度を変えても K は変わりません。

    4. やってみる 項目 1 の平衡から、体積を 4.0 L → 2.0 L にする。

      見るところ 直後はどの濃度も 2 倍で、Q は 0.500 → 1.00 です。Q > K なので、分子の数が少ない左へ動きます。[NO₂] は 0.250 → 0.500 → ≈ 0.390 mol/L、[N₂O₄] は 0.125 → 0.250 → ≈ 0.305 mol/L です。全圧に比例する濃度の和は 0.375 → 0.750 → ≈ 0.695 mol/L で、上がった分の約 15 % しか打ち消せません。

    5. やってみる そのまま、体積を 2.0 L → 4.0 L に戻す。

      見るところ 直後の Q は 0.25 で Q < K です。右へ動いて、項目 1 と同じ [N₂O₄] = 0.125 mol/L、[NO₂] = 0.250 mol/L に戻ります。同じ物質の量、同じ体積、同じ温度なら、途中の道すじによらず同じ平衡です。

    6. やってみる そのまま、温度を 1 段階上げる。

      見るところ K が 0.5 → 1 mol/L に変わります。体積は一定なので、直後の濃度も Q(= 0.500)も変わらず、Q < K になります。右(吸熱の向き)へ動いて、[N₂O₄] ≈ 0.0955 mol/L、[NO₂] ≈ 0.309 mol/L になります。K の値を変えるのは温度だけです。

    7. やってみる 基準の温度に戻して、触媒ありで N₂O₄ 1.00 mol だけから始める。

      見るところ 太い線は、細い点線(触媒なし)より早く平らになります。変化の 99 % が済むまでの時間は、説明用の目盛りで ≈ 1.67 から ≈ 0.334 に短くなります。着く先は [N₂O₄] = 0.125 mol/L、[NO₂] = 0.250 mol/L で変わりません。平衡に着いたあとで触媒を入れても、何も動きません。

    8. やってみる H₂ + I₂ ⇄ 2HI に切り替え、平衡([H₂] = [I₂] = 0.250 mol/L、[HI] = 1.50 mol/L、1.0 L)から体積を 0.5 L にする。

      見るところ 濃度はどれも 2 倍の 0.500 mol/L、3.00 mol/L になりますが、Q は 36 のままで、K = 36 と等しいままです。平衡は動きません。「圧力を変えたのに動かない」のは、分子の数が両辺で同じだからです。全圧は 2 倍のままで、やわらげられません。

    9. やってみる N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃ に切り替え、平衡(2.0 L)から体積を 1.0 L にする。

      見るところ Q は 2.00 → 0.500 と 1/4 倍になり、Q < K です。分子の数が少ない右へ動き、[NH₃] は ≈ 0.486 → ≈ 0.972 → ≈ 1.19 mol/L です。N₂O₄ のときと同じ操作なのに、動く向きが逆です。

    10. やってみる N₂O₄ ⇄ 2NO₂ の項目 1 の平衡に、体積一定で貴ガスを 1.50 mol 加える。

      見るところ 濃度の和は 0.375 → 0.750 mol/L と 2 倍になり、全圧も 2 倍です。それでも [N₂O₄] = 0.125 mol/L、[NO₂] = 0.250 mol/L は変わらず、Q = K のままで、平衡は動きません。全圧が上がっても動かない例です。

    11. やってみる 項目 1 の平衡に戻して、全圧一定で貴ガスを 1.50 mol 加える。

      見るところ 体積が 4.0 L → 8.0 L に増え、濃度はどれも半分の 0.0625 mol/L、0.125 mol/L になります。Q = 0.250 で Q < K なので右へ動き、[N₂O₄] = 0.0450 mol/L、[NO₂] = 0.150 mol/L になります。分子が増えるので、体積はさらに増えて ≈ 8.33 L です。

    12. やってみる H₂ + I₂ ⇄ 2HI の平衡(1.0 L)に、全圧一定で貴ガスを 2.00 mol 加える。

      見るところ 体積が 2.0 L になり、濃度はどれも半分ですが、Q は 36 のままで動きません。全圧一定で貴ガスを加えたときに動くのは、両辺で分子の数が違う反応だけです。

    4式を書こう:平衡定数 K と、Q で向きを決める方法

    可逆反応と化学平衡

    どちらの向きにも進む反応を可逆反応といい、⇄ で書きます。正反応の速さと逆反応の速さが等しくなり、見かけの変化がなくなった状態が化学平衡です。反応は止まっていません。また、平衡で濃度が等しくなるわけでもありません。

    濃度平衡定数 K の式と単位

    aA + bB ⇄ cC + dD が平衡のとき、温度が一定なら次の値は一定です。これを濃度平衡定数 K といいます。

    $$K = \frac{[\mathrm{C}]^{c}[\mathrm{D}]^{d}}{[\mathrm{A}]^{a}[\mathrm{B}]^{b}}$$

    右辺が分子、左辺が分母で、係数が指数になります。K の単位は反応によって変わります。濃度の単位を式に入れて計算すると分かります。

    反応K の式単位
    N₂O₄ ⇄ 2NO₂[NO₂]² / [N₂O₄]mol/L
    H₂ + I₂ ⇄ 2HI[HI]² / ([H₂] [I₂])なし(打ち消し合う)
    N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃[NH₃]² / ([N₂] [H₂]³)L²/mol²

    逆向きに書いた反応(2NO₂ ⇄ N₂O₄)の K は、もとの K の逆数になり、単位も逆になります(L/mol)。

    Q と K を比べると、向きが決まる

    K の式に、平衡とは限らない「いまの濃度」を入れた値を、このページでは Q と書きます。

    比較意味動く向き
    Q < K右辺の物質がまだ足りない右(正反応の向き)
    Q > K右辺の物質が多すぎる左(逆反応の向き)
    Q = K平衡である動かない

    どちらへ動いても、Q が K と等しくなったところで移動が止まります。ただし、もとの濃度に戻るわけではありません。たとえば、体積が半分のまま濃度がもとに戻ると、物質量が半分になり、物質の量が合いません。だから K を満たす別の濃度の組になります。

    体積を変えると Q は何倍になるか

    体積を 1/2 にすると、どの濃度も 2 倍です。Q の式の分子と分母の指数の差(右辺の係数の和 − 左辺の係数の和)を m とすると、Q は 2m 倍になります。これが「分子の数に注目する」理由です。

    反応m体積 1/2 での Q動く向き
    N₂O₄ ⇄ 2NO₂2 − 1 = 12 倍(Q > K)左(分子の数が少ない側)
    H₂ + I₂ ⇄ 2HI2 − 2 = 01 倍(Q = K)動かない
    N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃2 − 4 = −21/4 倍(Q < K)右(分子の数が少ない側)

    ルシャトリエの原理(平衡移動の原理)

    平衡にある反応の条件を変えると、その変化をやわらげる向きに平衡が移動します。これをルシャトリエの原理といいます。やわらげるだけで、打ち消し切るわけではありません。向きの目安として使い、数値が必要なら K の式で計算します。

    変える条件動く向きK
    ある物質の濃度を上げるその物質が減る向き変わらない
    ある物質の濃度を下げるその物質が増える向き変わらない
    圧縮する(全圧が上がる)分子の数が少ない向き(両辺で同じなら動かない)変わらない
    膨張させる(全圧が下がる)分子の数が多い向き(両辺で同じなら動かない)変わらない
    温度を上げる吸熱の向き変わる
    温度を下げる発熱の向き変わる
    触媒を加える動かない(着くまでの時間が短くなる)変わらない

    K と温度

    右向きが吸熱の反応は、温度を上げると K が大きくなります。右向きが発熱の反応は、温度を上げると K が小さくなります。シミュレーターの K は、次の説明用の値です。

    反応(右向き)2 段階低い1 段階低い基準1 段階高い2 段階高い
    N₂O₄ ⇄ 2NO₂(吸熱、単位 mol/L)0.1250.250.512
    H₂ + I₂ ⇄ 2HI(発熱、単位なし)1447236189
    N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃(発熱、単位 L²/mol²)84210.5

    平衡の濃度を計算する:変化量の表を書く

    手順は、物質量の表を書く → 体積で割って濃度にする → K の式に入れるです。変化量は係数の比になります。

    例 1 H₂ + I₂ ⇄ 2HI(K = 36)

    H₂ 1.00 mol と I₂ 1.00 mol を 1.0 L の容器に入れます。H₂ が x [mol] 反応したとします。

    [mol]H₂I₂HI
    はじめ1.001.000
    変化−x−x+2x
    平衡1.00 − x1.00 − x2x
    $$\frac{(2x)^2}{(1.00-x)^2} = 36$$

    0 < x < 1.00 なので、両辺の正の平方根をとると 2x / (1.00 − x) = 6 で、x = 0.750 です。[H₂] = [I₂] = 0.250 mol/L、[HI] = 1.50 mol/L になります。

    例 2 N₂O₄ ⇄ 2NO₂ を圧縮する(K = 0.5 mol/L)

    平衡の N₂O₄ 0.500 mol、NO₂ 1.00 mol の体積を、4.0 L から 2.0 L にします。Q = 1.00 > K なので左へ動きます。N₂O₄ が y [mol] 増えるとすると、NO₂ は 2y [mol] 減ります。

    $$\frac{\left(\dfrac{1.00-2y}{2.0}\right)^{2}}{\dfrac{0.500+y}{2.0}} = 0.5$$

    整理すると (1.00 − 2y)² = 0.500 + y、つまり 4y² − 5y + 0.5 = 0 です。0 < y < 0.5 の解は y = (5 − √17)/8 ≈ 0.110 です。

    N₂O₄ ≈ 0.610 mol、NO₂ ≈ 0.781 mol で、[N₂O₄] ≈ 0.305 mol/L、[NO₂] ≈ 0.390 mol/L になります。

    NO₂ の色:加圧すると、濃くなるのか薄くなるのか

    NO₂ は赤褐色で、N₂O₄ はほぼ無色です。そのため、筒に入れて押すと色の変化が見えます。「加圧すると左へ動くから薄くなる」とだけ覚えると、順番を間違えます。観察の項目 4 の数値で確かめます。

    押す前0.250 mol/L
    押した直後0.500 mol/L
    新しい平衡≈ 0.390 mol/L
    1. 押した直後:濃くなる。体積が半分になるので、NO₂ の濃度は 2 倍になります。
    2. そのあと:少し薄くなる。左へ動いて NO₂ が減ります。「薄くなる」のはこの部分です。
    3. 新しい平衡:押す前よりは濃い。NO₂ の濃度は押す前の ≈ 1.56 倍です。

    見比べるときの注意 色の濃さは、濃度だけでなく、光が通る長さでも変わります。筒を横から見れば、光が通る長さはほぼ変わらないので、濃度の変化が色に出ます。上の色の見本は濃度を色の濃さにしたもので、実際の色そのものではありません。

    貴ガスを加えるとき:体積一定と全圧一定は結果が違う

    貴ガスは反応しないので、K の式に入りません。見るべきなのは全圧ではなく、反応する気体の濃度が変わるかどうかです。N₂O₄ ⇄ 2NO₂ の平衡(N₂O₄ 0.500 mol、NO₂ 1.00 mol、4.0 L)に、貴ガスを 1.50 mol 加えます。

    体積一定全圧一定
    加えた直後の体積4.0 L のまま8.0 L(気体全部の物質量が 2 倍)
    全圧2 倍変わらない
    直後の [N₂O₄]、[NO₂]0.125、0.250 mol/L(変わらない)0.0625、0.125 mol/L(半分)
    直後の Q0.500(= K)0.250(< K)
    平衡は動かない右へ(分子の数が多い側)
    新しい平衡0.125、0.250 mol/L0.0450、0.150 mol/L、体積 ≈ 8.33 L

    全圧一定の計算では、反応が進むと気体全部の物質量が変わるので、体積も変わります。N₂O₄ が x [mol] 減るとすると、気体全部は 3.00 + x [mol] です。はじめの 1.50 mol で 4.0 L だったので、全部の濃度の和は 0.375 mol/L で一定です。だから体積は (3.00 + x) / 0.375 [L] です。K の式に入れて整理します。

    $$\frac{(1.00+2x)^2}{(0.500-x)\,V} = 0.5$$ $$V = \frac{3.00+x}{0.375}$$

    整理すると 16x² + 22x − 3 = 0 で、正の解は x = 0.125 です。N₂O₄ は 0.375 mol、NO₂ は 1.25 mol、体積は ≈ 8.33 L で、上の表の濃度になります。

    向きの判断の練習:右? 左? 動かない?

    操作を読んで、平衡が動く向きを選びましょう。どの問題も、基準の温度の平衡から始めます。判定はシミュレーターと同じ計算です。

     

    5確認問題

    どの問題でも、物質はすべて気体で、A、B、C、X、Y は架空の物質です。K の値は説明用の値です。解説の数値は、問題の数値に合わせた桁で書きます。解説を開く前に、紙に式を書いてみてください。

    問1 K の式と単位

    2A + B ⇄ 2C の濃度平衡定数 K の式と単位を書け。また、2C ⇄ 2A + B の平衡定数の単位を書け。

    解説を見る
    $$K = \frac{[\mathrm{C}]^2}{[\mathrm{A}]^2[\mathrm{B}]}$$

    単位は (mol/L)² ÷ (mol/L)³ で L/mol です。逆向きの反応の平衡定数は 1/K なので、単位は mol/L です。

    問2 平衡定数を求める

    X ⇄ 2Y について、5.0 L の容器に X を 0.80 mol だけ入れて一定の温度に保つと、X が 0.30 mol になって平衡に達した。K を求めよ。

    解説を見る

    X は 0.50 mol 減ったので、Y は係数の比で 1.0 mol できます。[X] = 0.30/5.0 = 0.060 mol/L、[Y] = 1.0/5.0 = 0.20 mol/L です。

    $$K = \frac{0.20^2}{0.060} = \frac{2}{3}$$

    答えは K = 2/3 ≈ 0.67 mol/L です。物質量のまま代入しないように注意します。

    問3 Q と K で向きを判断する

    A + B ⇄ 2C(K = 16)で、ある瞬間の濃度が [A] = 0.50 mol/L、[B] = 0.25 mol/L、[C] = 1.5 mol/L だった。反応はどちらの向きに進むか。

    解説を見る
    $$Q = \frac{1.5^2}{0.50\times0.25} = 18$$

    Q > K なので、左(逆反応の向き)に進みます。

    問4 平衡の濃度(両辺の平方根)

    A + B ⇄ 2C(K = 25)で、2.0 L の容器に A と B を 1.4 mol ずつ入れた。平衡での各物質の濃度を求めよ。

    解説を見る

    A が x [mol] 反応するとします。体積は分子と分母で打ち消し合います。

    $$\frac{(2x)^2}{(1.4-x)^2} = 25$$

    0 < x < 1.4 なので、正の平方根をとると 2x / (1.4 − x) = 5 で、x = 1.0 です。A、B は 0.40 mol、C は 2.0 mol なので、[A] = [B] = 0.20 mol/L、[C] = 1.0 mol/L です。

    問5 圧縮の直後と新しい平衡

    X ⇄ 2Y(K = 0.72 mol/L)が、5.0 L の容器で X 0.40 mol、Y 1.2 mol の平衡にある。温度を変えずに体積を 2.5 L にした。直後の [Y] と、新しい平衡の [Y] を求めよ。

    解説を見る

    直後:[Y] = 1.2/2.5 = 0.48 mol/L、[X] = 0.16 mol/L で、Q = 0.48²/0.16 = 1.44 > K です。左へ動きます。

    X が y [mol] 増えるとすると、(1.2 − 2y)² / {2.5 (0.40 + y)} = 0.72 です。整理すると 4y² − 6.6y + 0.72 = 0 で、y ≈ 0.12 です。

    丸める前の y で計算すると Y ≈ 0.97 mol なので、新しい平衡は [Y] ≈ 0.39 mol/L です。もとの 0.24 mol/L より高く、直後の 0.48 mol/L より低くなります。

    問6 K の変化から、発熱か吸熱かを判断する

    A ⇄ 2B の K は、低い温度で 0.40 mol/L、高い温度で 1.2 mol/L だった。右向きの反応は発熱か吸熱か。

    解説を見る

    温度を上げると K が大きくなり、右へ動きます。温度を上げたときに動くのは吸熱の向きなので、右向きは吸熱です。

    問7 貴ガスを加える

    問5 のはじめの平衡(X 0.40 mol、Y 1.2 mol、5.0 L)に、貴ガスを 1.60 mol 加える。(1) 体積一定のとき、(2) 全圧一定のときの、加えた直後の Q を求め、平衡が動く向きを答えよ。

    解説を見る

    (1) 濃度は変わらず Q = 0.24²/0.08 = 0.72 = K なので、動きません。

    (2) 気体全部の物質量が 1.60 mol から 3.20 mol になるので、体積は 10 L です。[X] = 0.040 mol/L、[Y] = 0.12 mol/L で、Q = 0.12²/0.040 = 0.36 < K なので、右へ動きます。

    問8 正しいものをすべて選ぶ

    ア 平衡では、反応物と生成物の濃度は等しい。
    イ 触媒を加えると、平衡に達するまでの時間は短くなるが、K は変わらない。
    ウ 温度が一定なら、圧力を変えても K は変わらない。
    エ ある物質を加えて平衡が移動すると、その物質の濃度は加える前の値に戻る。

    解説を見る

    正しいのはイ、ウです。アは誤りで、等しいのは濃度ではなく正反応と逆反応の速さです。エは誤りで、加える前の値までは戻りません。

    違いと用語の整理

    用語意味間違えやすい点
    可逆反応どちらの向きにも進む反応片方に進み切るとは限らない
    化学平衡正反応と逆反応の速さが等しい状態反応は止まっていない。濃度が等しいとは限らない
    平衡定数 K平衡での濃度の関係を表す、温度で決まる値濃度・圧力・触媒では変わらない
    平衡の移動条件の変化で、新しい平衡へ向かって反応が進むことK が同じでも濃度の組は変わる
    触媒反応を速くするが、反応の前後で変わらない物質平衡を動かさない
    貴ガスここでは、反応に加わらない気体全圧ではなく、反応する気体の濃度を見る

    よくある質問と、間違いの例

    Q. 平衡状態では反応が止まっているのですか?
    止まっていません。正反応と逆反応が同じ速さで続いているので、濃度が変わらないように見えます。シミュレーターの粒が入れ替わり続けるのが、その様子の模式図です。
    Q. 平衡のとき、物質の濃度は等しくなりますか?
    等しくなるとは限りません。等しくなるのは速さです。観察の項目 1 では、[N₂O₄] = 0.125 mol/L、[NO₂] = 0.250 mol/L です。
    Q. 濃度や圧力を変えると、平衡定数 K は変わりますか?
    変わりません。Q が変わって K とずれるので、平衡が動きます。K を変えるのは温度だけです。
    Q. ルシャトリエの原理で、変化は全部打ち消されますか?
    打ち消されません。やわらげるだけです。観察の項目 4 では、全圧に比例する濃度の和は 2 倍になろうとして、≈ 1.85 倍で止まります。
    Q. H₂ + I₂ ⇄ 2HI は、圧力を変えても動かないのはなぜですか?
    左辺も右辺も分子が 2 個なので、体積を変えても Q が変わらないからです。ただし、濃度はどれも変わります。「動かない」と「濃度が変わらない」は別のことです。
    Q. 触媒を加えると、平衡はどうなりますか?
    動きません。正反応と逆反応の両方が同じ倍率で速くなるので、K はそのままで、平衡に達するまでの時間だけが短くなります。
    Q. 温度を上げると、平衡が動くだけでなく K も変わるのはなぜですか?
    温度が変わると、正反応と逆反応の速さの増え方が違うからです。吸熱の向きのほうが大きく速くなるので、その向きに有利な K になります。
    Q. 温度を上げると、発熱の向きの反応は遅くなりますか?
    遅くなりません。どちらの向きの反応も速くなります。吸熱の向きのほうが大きく速くなるので、平衡は吸熱の向きへ動きます。
    Q. 体積一定で貴ガスを加えると平衡は動きますか?
    動きません。全圧は上がりますが、反応する気体の濃度が変わらないからです。全圧一定で加えると体積が増えて濃度が下がるので、両辺で分子の数が違う反応なら、分子の数が多い側へ動きます。
    Q. アンモニアを多く作るには、どの条件がよいですか?
    N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃ は右向きが発熱で、分子の数が減る反応です。平衡だけを考えると、低温・高圧が有利です。ただ、低温では反応が遅いので、実際の工業では触媒を使い、ある程度高い温度で速さと両立させます。

    間違いの例

    次のステップ

    向きの判断ができたら、次は変化量の表を自分で書いて、新しい平衡の濃度を計算する段階です。教科書や手持ちの問題集の問題で、計算の前に Q と K を比べて、答えの向きを先に確かめてみましょう。

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